2025月3月1日
院長　大石　孝

3月3日と言えばひな祭り。ひな祭りは平安時代に中国から伝わった「五節句」という行事のひとつで、「桃の節句」ともいう。季節の節目は邪気が入りやすいため、その厄(やく)や邪気を払い、女の子の健やかな成長と健康を願う目的がある。江戸時代に幕府が公的な行事として五節句を　定めたため、3月3日にひな祭りを祝うという風習が庶民にも広まった。

祭りにつきものの雛人形、白酒、菱餅、そして桃の花は、それぞれに穢(けが)れ祓(ばら)いのための重要な役割を持っている。雛人形は穢れを背負わす身代わりであり、白酒と菱餅は身代わりになってくれる人形への報酬と言われている。

桃の花は美しいだけではなく、厄払いや魔除け、長寿をもたらす力も持っている。桃の種は昔から漢方薬として重宝されており、桃仁（桃の堅い核の中にある種）を使った桃核承気湯という漢方薬があり、女性の血流を良くする薬として知られている。桃の花は3月下旬から4月初旬に開花するが、旧暦の3月はちょうど4月に当たる。

ひし餅は、菱形の桃、白、緑の三色のお餅で、その色にはそれぞれ意味がある。寒い冬に降り積もった雪（白）が溶け始め、緑の草木が芽吹き、桃の花が咲き始める・・冬から春へ季節が移ろう美しい情景が、ひし餅だけにヒシヒシと伝わってくるようだ。

さて、ひな祭りには、「うれしいひなまつり」の歌が定番。作曲河村光陽、作詞サトウハチローのコンビで1935年に作られた曲である。
♪あかりをつけましょ ぼんぼりに　お花をあげましょ 桃の花　五人ばやしの 笛太鼓　今日は　たのしい　ひなまつり♪」

では、ここで問題です。
①「ぼんぼり」とは何のこと？
②「五人囃子」とはそれぞれ何の楽器？

答え：
①ぼんぼり(雪洞）は、長柄の燭台の一種で、優しく柔らかい光を灯すもの。
②左から「太鼓（たいこ）→大鼓（おおかわ）→小鼓（こつづみ）→笛（ふえ）→謡（うたい）」の順に並ぶ。