コーヒータイム(79) 路線バス

2025年2月1日
アドバイザー 加藤 洋男

自宅から最寄駅まで徒歩20分程度で運動のために歩くのにはよい距離だが、暑い夏、寒い冬、雨天時は億劫になり路線バスを利用する。当然のことながら道路事情によりダイヤどおりには動かない。携帯アプリのバス位置情報のお陰で現在どこを走っているかは分かるが、待つにも忍耐がいる。しかし減便されず動いてくれていることに感謝しているせいか、皆さん黙して静かに待っている。

路線バスは昔、運転手と車掌の二人体制だった。1900年代の中頃、今は亡き中村メイコが歌ってヒットした「♪田舎のバスはおんぼろ車・・♪それでもお客はガマンしている・・それは私が美人だから♪」のようにバスは運転手のほかに女性の車掌がいて、運賃の収受、踏切の安全確認、バックの誘導、顧客との応対などを行っていた。これが1980年代にはワンマン運行になった。

ワンマンバスになって以後、運転手の業務は車掌の任務に加えて、時代の進歩とともに運転手周辺は複雑になった。運行管理上の細かい多くの機器、複雑な料金箱、あちこちに付けられたミラー、車内乗客の状況把握、乗客の高齢化など、停車・発車のつど安全優先で相当な神経を使うものと思う。
最近は、女性運転手が増えたことで分かるとおり、車本体の著しい改良でハンドル、ギア、クラッチなど、腕力や体力を使う操作は軽減されたのがせめてもの救いか。

AI(人工知能)を使ったバスが検討され、既にオペレーターが同乗する「レベル2」が運行されているが、特定条件下で人が運転に関わらない「レベル4」も実験中で、近い時期に、「昔のバスは人間が運転していた」という時代が来るのかも知れない。

テレビ番組で”路線バス乗り継ぎの旅”を見ているとかなりの奥地まで路線バスが地域に貢献している。都市、観光地、過疎地など地域によって問題点や課題が異なるが、共通しているのは運転手不足だ。大型二種免許取得者は減少の一途で運転手不足に拍車をかけている。人の温もりで運転されるバスの存続を願いたいところだ。

健康のために出来る限り自分の足で歩く一方、路線バス利用時はスムーズな運行に協力するよう乗車したいと思う。