コーヒータイム(83) そろばん

2025年10月1日
アドバイザー 加藤 洋男

昭和の時代、習い事の定番だった「そろばん」が令和の時代に再び脚光を浴びているという。デジタル機器を使えば簡単に答えが出来る時代にこそ、自分の頭や指を使うそろばんの価値が見直されつつあるらしい。そろばんに慣れると頭の中で玉を動かして暗算が出来るようになり、算数の能力も上がるので塾に通わせるそうで、かなりの子供が小学1年までにそろばんに親しむという。

昭和中期くらいまでは、事務職の採用条件が商工会議所珠算能力検定3級以上という会社もあった。そういう背景もあって、そろばんの習い事が盛んで私が中学生の頃、街に2箇所のそろばん塾があり、3級合格者の数を競っていた。
 社会人になった頃は、加算器や大型の卓上計算機が出始めたものの、技術系は計算尺、事務系はそろばんが幅を利かせていた。中には暗算の得意な者がいて、仕事はもちろん、麻雀の点数計算やゴルフのスコア集計など朝飯前で便利な存在として重宝がられた。

1970年代に入り卓上の小型計算機が大ヒットし、それに伴ってオフィスからそろばんは姿を消した。
そろばんの起源は定かでないが、日本では1570年代の「日本風土記」に記録があるという。江戸時代には「読み書きそろばん」と言われて寺子屋で教えられるなど重要視され、明治以降の小学校でも取り入れられた。
白井市に「白井そろばん博物館」があるそうで、その歴史を辿るのもよいかも知れない。

歳をとると記憶力などが金属疲労の様相を呈するが、それは使わないことによる弊害だそうで、磨けば磨くほど戻るそうである。今更そろばん塾へ通わないまでも、日常生活で出来るだけ頭の体操をするのには計算はよいのかも知れない。