コーヒータイム(85) ウマ・馬・午

2026年2月1日
アドバイザー 加藤 洋男

今年の干支は午である。私の干支でもある。馬は洋の東西を問わず古来から人とのかかわりが深く、協働と信頼の象徴とされた。人の感情を読み取ってそれに敏感に反応すると言われる。農耕はもちろん荷役、乗用、軍用、競技などに登場し、その活躍ぶりは話題に事欠かない。

馬について、年男の私の幼い頃の思い出を掘り起こしてみたい。軍用では実戦はともかく一昔前の映画の世界で見ると馬は欠かせない。西部劇の騎兵隊や幌馬車はもとより、日本の時代劇でも枚挙にいとまがない。源平合戦の義経の”ひよどりごえ”など娯楽を支えた陰の功労者だ。白馬に跨る嵐寛寿郎扮する鞍馬天狗の登場に館内の子供の拍手が響いた。広い野を駆ける姿は颯爽として美しい。サラブレットクラスは時速90kmにも及ぶ。足の速い友人の「駿一」君の名を羨んだ時期があった。昭和20年代初めには運搬業務の一旦を担っていた馬車が家の前の未舗装道路を通っていて荷台に乗せてもらった記憶がかすかにある。冬の寒い日に子供だけで焚き火をしたが、そこで結構な火傷をした時、当時の生活の知恵なのか、家に常備されていた馬の脂のお陰で、跡が全く残らなかった。

他に食用としてもファンは多い。現在でも熊本の馬刺しや東京深川の馬肉料理の通称”けとばし”はその代表だ。

午年は馬の特徴を反映してか、行動力や活発で前向きなチャレンジ精神を後押しすると言われる。祭事としてもいろいろあるが、2月初めの午の日は初午祭としてお稲荷さんで五穀豊穣や商売繁盛などを祈願する(今年は2月1日)。製造現場を持つ工場では作業の安全を期して「安全祈願祭」を行う例もある。

午でも今年は丙午で60年に1回回ってくる迷信がある。
 放火して火あぶりの刑になった八百屋お七が丙午生まれということから女性がその被害にあった。前回の1966年(昭和41年)は出生数がその前年より25%も減った。今年はそんな迷信は吹き飛ばすことを願っている。

人間万事塞翁が馬、いい時も悪い時もある。若き日は生き馬の目を抜く時代にあって、馬車馬のように働き、アフター5は牛飲馬食を貪ることもあったが、年齢を重ねた今は健康第一で、他人の尻馬に乗ることなく馬が合う仲間と楽しく過ごしたいものだ。