2026年4月1日
皮膚科医師
芳川万代
エクソソームとは?
エクソソームとは直径30~150nm程度の細胞から分泌される細胞外小胞の1つで、細胞間の物質・情報伝達をしています。近年、このエクソソームが様々な病気に関与していることがわかってきており、新しい診断・治療への応用が期待されています。

体内での働きと役割
細胞から分泌されたエクソソームは、ほかの細胞に取り込まれ、内部に含まれるタンパク質や遺伝情報を受け渡します。この受け渡しには、以下の働きがあります。
・細胞の機能調整・炎症抑制
・組織修復
・免疫反応の制御 など
このように多岐にわたる生理機能に関与しており、今までの細胞移植に代わる「細胞を用いない再生医療」として、脳神経、循環器、免疫疾患、がん等の幅広い領域で研究・実用化が進んでいます。
皮膚においては、病気の治療だけでなく、美容の面でもその有用性が注目されています。
エクソソームが病気に関与している?
2005年に発表された論文で、卵巣がんのがん細胞がエクソソームを放出し、その中に含まれる物質がT細胞の機能を阻害して、がんを増殖・進行させたりすることが初めて示されました。 皮膚でも悪性のがんであるメラノーマにおいて、エクソソームの関与についての研究が進んでおり、色々な面からがんの進行に影響することがわかっています。その他にも、免疫の異常によって皮膚の細胞が過剰に作られる乾癬(かんせん)や、皮膚のバリア機能の低下と慢性的な炎症を特徴とするアトピー性皮膚炎においても、エクソソームに関する研究が進んでいます。
皮膚疾患の治療におけるエクソソーム
エクソソームの治療への応用は、今までの対症療法とは異なり、細胞レベルでの「組織修復」と「免疫調整」を軸とした新しい治療アプローチとして注目されています。
例えばメラノーマでは、マウスの研究で、エクソソームなどの細胞外小胞の放出を抑えることで、がん細胞の転移が抑えられることがわかっています。また、アトピー性皮膚炎においても、マウスにおいて、エクソソームによって症状が改善するという研究結果があります。
その他、傷の治りを早くすることを目的としたエクソソームの治療利用も期待されています。
次回は、美容医療への応用、今後の課題についてお話しします。