40.体のにおい(体臭) part.3 ~様々な体臭と対策~

2025年5月26日
皮膚科医師
芳川万代

よくある”におい”と原因の「皮膚ガス」 ~その対策~

今回は、前回に引き続き以下の1~3についてお話します。
1. 疲労臭「アンモニア」
2. 汗臭「イソ吉草酸など」
3. ニンニク臭「アリルメチルスルフィド」

1. 疲労臭「アンモニア」
皮膚から放散される「アンモニア」は、運動や労働などの身体への負荷、心理的なストレスの負荷によって増加します。

<対策>
① 魚や肉に偏った食事をしない
② オルニチン摂取(肝臓でのアンモニアの解毒が促進される。オルニチンはシジミやブナシメジに多く含まれる。)
③ 毎晩入浴する(湯船に浸かることで筋肉の疲労がとれ、精神的なストレスも緩和される。)
④ 腸内環境を改善する(ヨーグルト等でビフィズス菌をとったり、食物繊維をとることも大切。)

2. 汗臭「イソ吉草酸など」
汗は時間が経つと、皮膚常在菌(皮膚の上にいる微生物)により、皮膚ガスに変化します。

<対策>
① 汗はウエットなもので拭く(汗は体を冷やすためにかくので、濡れたもので拭き、皮膚表面をウエットにするのが良い。)
② 汗腺を衰えさせない(皮膚常在菌はベトベトした汗を好むため、日頃から汗をかく習慣をつけ、サラサラの汗をかくようにする。)
③ 制汗剤を使う(どうしても汗臭を抑えたい時に使用する。ただし、発汗は体を正常に保つ大事な機能なので、使い過ぎには注意。)

3. ニンニク臭「アリルメチルスルフィド」
ニンニクを食べて、その成分が代謝されると「アリルメチルスルフィド」等に変化します。これはごく微量であってもニンニク臭の原因となります。

<対策>
① 牛乳を飲む(飲むタイミングはニンニク摂取前でも後でもどちらでも良い)
② ポリフェノールを摂取する(ポリフェノールは植物に存在する苦味や色素の成分で、前回お話ししたように加齢臭も抑制する。)
※ニンニク臭の原因である皮膚ガスは、血液由来であるため、体内から生成・放散を抑えるのが効果的であり、皮膚を洗ったり、入浴で発汗を促しても効果はありません。