2023年10月26日
皮膚科医師
芳川万代
前回は屋内で見られるダニの種類や生態についてお話ししました。今回は、対処法についてお話しします。
“ダニ” 驚異の繁殖力
高温・多湿を好むダニは5~9月に特に繁殖しますが、近年は暖房が普及しているため冬でも多く生息しています。気温20~30℃で湿度60~80%の、人間にとって過ごしやすい環境は、ダニにとっても居心地が良いようです。繁殖しやすい条件が揃うと、1組のつがいが2ヵ月後には約3,000匹、さらに4ヵ月後には約450万匹…というように爆発的に増殖してしまうダニ。また、フケやアカなどのエサがたった1gあれば、約300匹が生息できてしまいます。
“見えない敵 “ダニ” から身を守ろう!
ダニは繁殖力が強い上、たくさんのフンをするため、ダニが増えるほどフンも大量に…。繁殖してしまう前に定期的に駆除しておくことで、ダニによる被害を軽減できます。
まずは以下のことを実践してみましょう!
① 換気をする
ダニには羽がないので、ホコリとともに風に乗って移動しています。最近は、様々な性能が向上した反面、通気性の悪い家が多くなっています。つまり、移動を風で行うダニは外に出ていくことなく家の中でどんどん増えていくのです。
② 除湿する
高温多湿の空間でダニは増殖しやすくなります。梅雨時が特に要注意です。また、室内干しをよくする家や、加湿器を使う冬も要注意です。
③ 掃除機がけや水拭きをこまめにする
ダニのエサとなるホコリや髪の毛や食べかすなどを極力なくしましょう。フローリングの場合でも、板の隙間にダニが潜んでいることがあります。外干しが難しいカーペットや畳、ソファーなども入念に!
④ 寝具を清潔にする
寝具は、汗で湿気がこもり、熱もこもりやすいので、ダニが住みつきやすい場所です。垢やフケも付きやすく、それを餌にダニがどんどん増殖します。そのため定期的な丸洗いや乾燥が必要です。ただし、布団を天日干しするだけではあまり効果がないのが実情です。50℃の熱を30分間あてることでダニは死滅しますが、天日干しでは表面のダニが温度の低い布団の中のほうに潜り込んでしまいます。そこで、布団乾燥機の「ダニ退治モード」等で退治するのがお勧めです。熱を加えてダニを退治した後も死骸やフンなどが残っているため、仕上げに掃除機を丁寧にかけましょう。